夏みかんの由来とは
夏みかんは山口県の萩市で広く栽培されています。江戸の中期に青海島のあたりに流れ着いた柑橘の種を、地元に住む西本於長という女の子が家で植えてみたところ文旦系の柑橘の実を成らせました。この原木は昭和2年に史跡名勝記念物に指定され、今でも西本家の庭に保存されています。これが夏みかんとなりました。
明治期に入り多くの武士が失業してしまったのは、山口県の萩藩においても同じこと。この失業武士達の生活を少しでも救済することを目的として、この萩藩はみかんの栽培を奨励しました。その当時「ナツダイダイ」と呼ばれていました。
代々武士の世が続きますようにとの願いが込められた名づけだったのです。あまりに酸味が強いことから食用には向かないみかんとされていましたが、初夏になると酸味が減って甘味が増すことから「この時期に食べられる珍しい柑橘の実」ということで、広く求められるようになりました。
出荷高もそれと共に増えてゆき、萩市の名産と言われるまでになったのです。その結果萩は夏になると街中が夏みかんの香りに包まれるほど。1926年、当時皇太子であった昭和天皇はこの地を訪れ「この町は香水を撒いているのか?」とおっしゃったほどだったのだそうです。
いまでもその香りは季節の風物詩として知られ、環境庁は2001年、「かおり風景100選」にひとつに選びました。皮が肉厚で風味が高いことから、皮の部分を生かした砂糖漬けなども、今では萩市の名産品の一つとなっています。
みかん
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